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あっせん取扱い機関

個別労働関係紛争解決手続きのあっせんを取扱う機関として、以下の各所があります。

労働局のあっせん(無料)

個別労働関係紛争事案のあっせん件数は、労働委員会や労政事務所に比べ労働局が最多です(中央労働委員会集計資料)。

「あっせん申請書」は、各都道府県労働局や労働基準監督署に設置された総合労働相談コーナーに提出します。

あっせんをするかどうか分からない段階の相談から手続きまでここで教えてくれます。

相談者と窓口担当者との相性もありますので、理解できないことがあれば、日を替え、別の相談コーナーを利用してみても良いと思います。相談は匿名でもできます。

あっせん手続きは、事業所所在地を管轄する自治体の労働局が“申請先”になります。

例えば、本社が東京、支店が川崎にあって川崎支店で起こった紛争については、神奈川労働局が“申請先”ということになります。

労働基準監督署の総合労働相談コーナーに提出しても、あっせんを行なうのは、労働局の紛争調整委員会です。

東京の場合でしたら、例えば渋谷労働基準監督署の総合労働相談コーナーに提出して、あっせんを行なう場所は東京労働局となります。

労働委員会のあっせん(無料)

各都道府県(東京、兵庫、福岡を除く)労働委員会のあっせんは、労働者側と使用者側と学識経験者による三者構成で行われます。

労働委員会は、もともと労働組合の手続き行なう行政機関で、当事者の片方が労働組合の場合の紛争を処理していましたが、いつからか個別労働関係紛争(当事者の片方が従業員個人)も受け付けています。

労政主管事務所(都道府県事務局)のあっせん(無料)

すべての自治体で扱っているわけではないようです。当サイトが確認しているのは東京と神奈川で、この2自治体に限って言えば、はじめからあっせん申請のために出向くのではなく、まず労働相談をして、その結果あっせんが適していることになれば担当者から「あっせん指導」と称した仲介がなされます。

社労士会労働紛争解決センターのあっせん

各都道府県(栃木県、大分県を除く。H30年6月時点)の社労士会に設置された、法務大臣の認証を受けた民間の紛争解決事業者です。

あっせん委員は特定社労士が担います。当事者の一方が都道府県内に住所または所在地がある紛争を受付けます。

受付件数は法務省のHPでみることができます。費用は、東京の場合は時限的に現在無料です。

労働問題の解決手段としてのあっせん

労働問題の解決手段としてのあっせんは、このようにいろいろな機関が扱っています。

処理件数が一番多いのは労働局です。社労士会労働紛争解決センターは、熱心にきめ細かく対応してくれます。

労政主管事務所は、手続きの形式が柔軟です。

どの相談機関を利用したらいいのか分かりにくい、という方は、いくつか相談をしてみて対応を観察するという決め方もあります。

ただし、労働委員会と労政事務所(都道府県事務局)のあっせん打ち切りには、時効中断の効力がない点は注意です。

労働局と社労士会労働紛争解決センターのあっせんは、あっせん打ち切り通知が届いた翌日から1ヶ月(正確には労働局は30日)以内に裁判に訴えると、あっせんを申請した時点で時効中断(※)します。

※時効についての補足

時効の中断をねらうのであれば、最初に内容証明で請求します。

例えば未払い賃金を内容証明で請求してから6ヶ月以内に提訴すると、請求した時点から時効中断します。

あっせんは通常、申請してから1~2ヶ月で終わるので、最初に内容証明で請求しておけば、時効中断効力のない機関によるあっせんであっても、打ち切り後に次の手段を検討する準備期間ができます。

なお、労働局の場合、未払い賃金そのものの請求は、本来あっせんの目的とならないため(労働基準法違反事案は、労働基準監督署による是正指導等で対応)実際には「未払い賃金相当額」という目的に一般的に変換されます。

あっせんによる時効の中断は、この「相当額」しか対象にならないので、未払い賃金請求権の消滅時効は中断しません。

未払い賃金がある場合は、最初に内容証明による請求を行うと安全です。(当事務所は、内容証明のみのご依頼も対応致します。)

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